聴いてください、寿子先生

ひ弱な男とフワフワした女の国日本


1997年に発行され、興味深く読んだ本です。当世の日本人の中身に危機意識を感じ、クールな目線で切り込んでいます。

その1ページ目は、こう始まります。

「昨年(1996年)から今年(97年)にかけて、厚生省官僚の汚職がマスコミをにぎわした。日本に官僚の汚職はつきもので、今回の厚生省の汚職事件がとくにめずらしいということではなく・・・」岡光元事務次官が社会福祉施設への補助金交付などに便宜を図った謝礼として6000万円の賄賂を受け取った疑いで逮捕された事件のことです。

それから14年。政権も変わり、情報公開の大切さが浸透し始め、事業は仕分けされ、社会はどんな方向に動くのか、と期待も寄せつつあったというのに、また、汚職です。

今度は、医療機関に対する指導や監査のトップであるGメンが、コンタクト業者から監査を逃れるための賄賂を3000万受け取っていたのですから呆れる話です。いや、この14年の間も、厚労省が所管する国立感染症研究所の発注工事をめぐり、下請け受注業者から200万のわいろを受け取ったとして元会計課係長が逮捕されたり、昨年5月の障害者団体向け郵便割引制度悪用事件で係長が逮捕されたり、次々にいくつも不祥事がありました。当事者たちは、どうせ省庁とはこんなものだと認識しているのでしょうか。

不祥事が明るみにでれば、今後はこのようなことのないように努めますとか、特別監査チームを作って外部からもチェック機能を働かせますとかの声明が出されます。よくなっていくのだ、と、期待をしていると、こうやって裏切られてしまいます。

本の発行から13年。聴いてください、寿子先生。何も変わらない当世官僚気質。「フワフワした官僚の国日本」。