2011年3月 のアーカイブ

画期的な新製品「OCT」を投入

2011年3月1日

昨年6月から2ヶ月間試用していた「OCT」という、網膜の断層写真を撮ることができる器械を昨年秋に購入し、すでに半年以上使っています。

造影剤を使わなくても、瞳を散大させなくても、その場で鮮明な断層写真が撮れる器械で、眼科診療に画期的な進歩をもたらしてくれています。

これまで、網膜は、正面から光をあて、前から観察するのみだったので、10層構造のどの部位で何が起こっているのか、詳細がわかりにくいことが多かったのですが、横断面を鮮やかに写すことにより、一目瞭然に病態が見え、飛躍的に情報を得られるようになりました。

特に、網膜上膜、黄斑円孔、黄斑浮腫、加齢黄斑変性、中心性漿液性網脈絡膜症などの疾患の観察にはとても有用です。これまで、正面からの観察に四苦八苦していたのが、横断面をカラーで見ることで、どこがどうなっていたかいっきにわかり感動的です。緑内障の診断にも有用で、視神経乳頭周囲の神経線維層の厚みを観察することで、神経線維のダメージを判断できます。

このようにして、器械の前に座ってカメラで撮影するだけで、5分もかからず検査をすることができます。

物がゆがんで見えたり、視力が落ちたりしている人、緑内障の疑いのある人などに、検査をおすすめしています。