よくわかる 目の疾患

失明原因の上位を占める眼科疾患から順にわかりやすく解説します。

白内障(はくないしょう)

目の断面■ 白内障とは、眼の中で光を屈折させて網膜に焦点を合わせる働きをしている透明なレンズである水晶体が白く濁るために、スリ硝子を通して見ているように物がぼやけてしまう病気です。(図2)

圧倒的に多い原因は、老化によるもの(老人性白内障)ですが、それ以外に、糖尿病などの全身疾患やステロイドなどの薬剤の副作用によるもの(併発白内障)、先天性素因によるもの(先天白内障)などがあります。

自覚症状としては、ものがかすんで見える、まぶしくなる、暗くなると見えにくくなる、近くが見えやすくなる、ものが二重三重に見えるなどの症状があります。

■ 白内障の治療には、進行の予防に点眼が使われていますが、進行すると手術の適応になります。
手術を受ける時期は、日常生活に支障をきたすようになった時や、職業上必要な視力が得られなくなった時ということで、個人により差がありますが、目安の視力としては矯正視力0.5くらいになった時期とされています。

眼内レンズ■ 白内障の手術は、眼の中の濁った水晶体を取り出し、人工の眼内レンズと置き換える手術で、本来の水晶体のあった場所に左の写真のような眼内レンズが挿入されます。

■手術の手順を簡単に図示すると

レンズ白内障手術その11)水晶体を入れている袋(嚢)の前面を切り取ります。


レンズ白内障手術その22)水晶体の中身をペン型の超音波のチップで砕きながら吸い取ります。レンズ白内障手術その5


レンズ白内障手術その33)新しい眼内レンズを入れます。


レンズ白内障手術その44)新しい眼内レンズが入った様子。レンズ白内障手術その6


■ 以前、眼内レンズがなかった時代には、水晶体を取り去った代わりに水晶体に代わる屈折力の強い眼鏡やコンタクトレンズの装用が必要でしたが、眼内レンズを挿入すると、眼鏡やコンタクトがなくてもある程度の良好な視力が出ます。
眼内レンズを入れた場合には、近視や乱視を微調整するため、遠くをみる際に度の軽い眼鏡を処方します。

■ 白内障は、眼の他の部分に大きな異常がなければ、手術をすれば良好な視力を回復させることができます。
時期については、本人の希望に沿って考えることができますので、主治医の先生に相談をしてみましょう。

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