よくわかる 目の疾患

失明原因の上位を占める眼科疾患から順にわかりやすく解説します。

加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)

加齢黄斑変性■ 糖尿病網膜症と並んで失明原因のトップを占める眼の病気に、緑内障があります。

■「加齢黄斑変性」は、すでにアメリカでは中途失明原因の第1位になっている疾患で、日本でも急速な高齢化等によりこれによる視力障害者が急増しており、いずれ失明の第1位を占める勢いです。

■ 加齢黄斑変性とは、網膜の中心部の黄斑というところに異常な老化現象が起こり、黄斑が変化して視力が低下する病気です。
黄斑という部分は、文字を読んだり絵図を描いたり、精密な視覚を担当する場所なので、ここに変化が起こると字がゆがんだりとぎれたり、視野の中央が暗く見えたりします。

加齢黄変性で起きている変化は、脈絡膜といって、網膜の裏打ちをしている血管に富んだ黒い膜から起こります。

新生血管

■ 脈絡膜の血管は網膜を栄養しているのですが、そこから本来存在しなかった「新生血管」という、未熟で破れたり血液成分を滲出させやすい血管が生えてしまいます。
この新生血管がこの疾患の諸悪の根源で、網膜色素上皮の下、あるいは網膜色素上皮の上へ侵入して増殖し、出血を起こしたり、血液成分を透過させて水ぶくれを起こしたりし、黄斑の機能を著しく落とします。

滲出型加齢黄斑変性黄斑の変化には、ふたつのタイプがあります。

新生血管からの出血や滲出のため視力障害が強く起こる「滲出型」(左図参照)と、進行が遅くそれほど視力の落ちない「萎縮型」です。

「滲出型」に対しては、レーザー光凝固、光線力学療法、経瞳孔温熱療法が行われたり、脈絡膜新生血管抜去や黄斑移動術などの手術が行われたりしています。
加齢黄斑変性の9割を占めるのは「萎縮型」の方で、萎縮部分が拡大し中心窩にかからない限り、高度の視力障害には至りません。
レーザーや手術を行わないでしばらく経過を診ます。中には萎縮型から滲出型に変化して病状の深厚が加速されることもありますので、定期的な眼底検査による経過観察が大切です。

加齢黄斑変性の原因は黄斑部の網膜~脈絡膜の老化と考えられており、リスクファクターとして加齢、喫煙、高血圧、紫外線、ビタミンや亜鉛の不足、白内障などが報告されています。

■ この病気の進行の予防に効果があると言われている食品の話をしてみます。
まず、亜鉛を多く含む食品により視力の低下を遅らせることができるという報告があり、牡蠣、カニ、牛肉、豚肉、レバー、チーズ、卵黄、ごま、大豆、アーモンド、カシューナッツ、小麦胚芽、海苔、ココアなど、亜鉛を多く含む食品はおすすめです。

また、ルテインという、体内でビタミンAに変わる抗酸化物質の補給により進行を抑制できるとの報告があり、ほうれんそう、春菊、にんじん、バジル、パセリ、モロヘイヤ、にら、かぼちゃ、水菜、ケール、クレソン、小松菜、サラダ菜、などの濃い色の緑黄色野菜をたっぷりいただくことが大切と思われます。

△To top△